●概 要
近年、とくに都市部においてはライフラインの地下化が進み、これらの施設が主として道路下の浅深度地下利用のため過密化・多層化してきたので、大深度シールド工法による地下開発の要望が高まっております。
一般に、大深度におけるセグメントでは、(1)大きい外荷重(水圧および土圧)に耐えること、(2)高水圧に耐える止水性があることが重要であると言われています。
鋼製セグメント工業会(日本シールドセグメント技術協会・鋼製セグメント部会の前身)は、このようなニーズに応えるため大深度用「コンクリート中詰め鋼製セグメント」(SSPC-Steel Segment with Pre-filled Concrete)を開発いたしました。この「コンクリート中詰め鋼製セグメント」は既存の鋼製セグメントの鋼殻に予め工場でコンクリートを中詰めしたプレハブ製品であります。
●特 長
1. 大深度の高圧下でも安全な施工が可能です。
鋼とコンクリートの合成構造により高強度が得られ、外面が鋼殻で覆われているため、割れ欠けのない覆工が
できることにより桁高の小さいセグメントでも安全施工が可能です。
2. 止水性に優れています。
外面が鋼殻で覆われており、継手部のシール溝に設けたシール材により完全な止水構造となります。
3. 合理的な設計が可能です。
鋼とコンクリートの合成構造として評価できるため、材料の特性を活かした合理的かつ、経済的な設計が可能です。
4. 経済的な製品です。
ジャッキ推力等の圧縮力をコンクリートに負担させるため、鋼殻の軽量化が図れるので経済的な製品です。
5. 運搬時などの損傷がありません。
外面が鋼製で覆われているため、運搬時の損傷がありません。
6. 品質の信頼性が高い。
基本的に鋼製セグメントであるため製作が容易であり、品質に高い信頼性があります。
7. 二次覆工の省略も可能です。
コンクリートを中詰めしているため、接合目地をコーキングすることにより、二次覆工を省略することができます。
●強度特性
[単体曲げ試験]
中詰めされたコンクリートは、最終荷重時においても脱落することがありません。
[ジャッキ推力試験]
大深度シールドで使用される大きなジャッキ推力に対しても十分大きい耐力に対応できます。
以上の強度試験から、本セグメントの優れた強度特性が確認されています。
●外観写真
※写真は強度試験に用いた供試体です